「自己肯定感を高めよう」——書店でよく見かけるフレーズです。でも、いくら高めようとしても、すぐに下がってしまう。そんな経験はありませんか?
実は、本当に必要なのは「自己肯定感」ではなく「自己受容」かもしれません。この二つは似ているようで、まったく違うものなのです。
自己肯定感と自己受容の決定的な違い
多くの人が「自己肯定感」と「自己受容」を同じものだと思っています。
でも、この二つは似て非なるもの。むしろ、この違いを理解することが、心の安定への第一歩になります。
| 自己肯定感(Self-Esteem) | 自己受容(Self-Acceptance) |
|---|---|
| 「私は〇〇ができるから素晴らしい」 | 「私は〇〇ができなくても、ここにいていい」 |
| 「人より優れているから価値がある」 | 「ダメな部分も含めて、これが私だ」 |
| DOING(成果・能力)が基準=条件付き | BEING(存在・状態)が基準=無条件 |
自己肯定感は、「何かができる自分」に価値を置きます。仕事で成果を出したとき、誰かに褒められたとき、自己肯定感は高まります。
でも、失敗したとき、批判されたとき、自己肯定感は簡単に崩れ落ちます。
一方、自己受容は違います。「できてもできなくても、私は私」という揺るがない土台です。
自己肯定感は「花」、自己受容は「根っこ」
この違いを、一本の木で考えてみましょう。
自己肯定感は、季節によって移り変わる「花」や「葉っぱ」のようなものです。
春には美しく咲き誇り、夏には青々と茂る。でも、秋には散り、冬には枯れたように見える。見た目は絶えず変化します。
一方、自己受容は「根っこ」です。
地上からは見えないけれど、どんな季節でも静かに木を支えている存在。花が散っても、葉が落ちても、木そのものは倒れません。
あなたは今、花の美しさばかり気にしていませんか?
「今日は褒められたから価値がある」
「今日は失敗したから価値がない」
この繰り返しは、季節に振り回される花のようなもの。
私たちが本当に育てるべきなのは、花ではなく根っこ——つまり、「I am Good」ではなく「I am」という土台なのです。
自己受容とは「現状把握」である
「受容」という言葉を聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。心理学の専門用語のような、宗教的な概念のような。
でも、もっとシンプルに考えてみましょう。
自己受容とは、「正確な現状把握」のことです。
たとえば、ダイエット中なのに深夜にポテチを一袋食べてしまったとします。このとき、多くの人は脳内で不毛な会議を始めます。
よくある反応パターン
❌ 自己否定:
「またやった...。私の意志が弱いからだ。本当にダメな人間だ」
→生産性ゼロの反省会
❌ 無理なポジティブ:
「いや、明日から頑張ればいいし!野菜食べればチャラだし!」
→根拠のない楽観視
自己否定はモチベーションを下げるだけ。無理なポジティブは問題の本質から目を逸らすだけ。どちらも「解決」には繋がりません。
◎ 自己受容(現状把握):
「あー、私、ポテチ食べちゃったなぁ。......美味しかったなぁ」
これだけです。
「食べた事実は変えられない」。そこに「良い・悪い」のジャッジを挟まず、「事実」と「今の感覚」だけを認める。
「あ、私いま疲れてるんだな」
「あ、私いまイライラしてるんだな」
そうやって、自分の状態を淡々とモニタリングする。それが、冷静な判断を下すための第一歩です。
自己受容を始める具体的な方法
① 事実と解釈を分ける練習
日常の中で「事実」と「解釈」を分ける練習をしてみましょう。
たとえば「雨が降った」のは事実。「最悪」なのは解釈です。
「上司に指摘された」のは事実。「私はダメだ」は解釈です。
事実だけを見つめる目を養うこと。それがジャーナリングの本質でもあります。
② 鏡の中の自分に「お疲れ様」と言う
毎日、洗面所で鏡を見るとき、3秒だけ自分と目を合わせてみてください。そして、こう声をかけます。
「今日もお疲れ様。よく頑張ったね」
最初は恥ずかしいかもしれません。でも、脳は単純なので、鏡の中の人が労ってくれると「自分は認められている」と認識し始めます。
③ 「ま、いっか」を口癖にする
完璧主義の人は、「100点じゃないと出せない」と抱え込みがちです。でも、人生において、75点でアウトプットする方が価値が高い場面は多々あります。
「完璧じゃないけど、一旦、これでよし」
そう口に出して、強制的にタスクを完了させてみてください。
まとめ:根っこを育てよう
自己肯定感は、外部の評価や成果によって上下する「花」。
自己受容は、どんな状況でも自分を支え続ける「根っこ」。
私たちが本当に必要としているのは、花を咲かせることではなく、根っこを育てること。
「何をするか(Doing)」ではなく、「どう在るか(Being)」——その視点を持つだけで、心は少しずつ軽くなっていきます。
Soul Compassで自己受容を育む
Soul Compassでの毎日の内省は、自己受容を育てるための小さな練習です。「今日の自分はどうだったか」を、ジャッジせずに見つめる時間。
花を咲かせることに疲れたら、根っこを育てる旅を始めてみませんか?
